ローカルルール人格が感情や記憶を歪める理由

 

 ローカルルール人格というのは、しばしば情報や記憶を歪めます。

 周囲の言動を歪めて、本来の人格に伝えるために、受け取った側はそれを信じて、巻き込まれてしまう。

 実際に起きた出来事もそうですが、とくに言葉と感情を歪める。
どうして言葉と感情を歪めるかと言えば、最もコントロールしやすいから。

 

 
 「過誤記憶」といいますが、
 相手が言ってもいない言葉を作り出して、「言ったことにしたりする」ということが実際に起きる。

 

 普通にやり取りをされているはずなのに、数日立つと突然、
「あなたからひどい暴言を浴びせられた!」と怒り出したりすることもあります。

 

 相手は訳がわからずに戸惑って否定したり、勢いに押されて謝罪しますが、

 本人は「暴言を浴びせられた」という記憶が本当であると思わされている。

 

 あまりにも情報の歪曲がすごいために、本人も何が事実か、わけが解らなくなる。周囲の人間や治療者との関係もこじらされてしまって、不信から抜け出せなくなる、ということもあります。

 

 

 カウンセリングにおいても、親からひどい虐待を受けていました、ということを治療者に訴えていて、治療者もそれを真摯に受け止めて対応していたところ、ある日、クライアントさんが「あれはすべて妄想でした」といって治療者が驚く、ということは実際にあります。

 

 また、ひどいことをされた、と治療者自身が歪曲のネタにされることもよくあります。

 そうしたケースに困惑した治療者たちが「境界性パーソナリティ障害」という概念でしばしば起きる理不尽な出来事を説明しようとしてきました。

 愛着障害、症状が重いケースに多く見られます。
 (甲状腺など内分泌系や婦人科系などに不調を抱えるケースでも生じるとされます。)

(参考)→「「関係念慮(被害関係念慮、妄想)」とは何か?

 

 

 

 でも、どうして、こういうことが起きるのでしょうか?

 とくに、重いケースに起きるのはなぜでしょうか?

 

 それは、ローカルルールのメカニズムにヒントがあります。

 

 

 先日も、ローカルルールはなぜ敵を作ろうとするのか、ということについて社会全体のローカルルールとも言えるナチズム、全体主義の国を例に説明したことがありました。

(参考)→「目の前の人に因縁をつけたくなる理由

 

 

 情報の歪曲という現象についてもそうした例から考えることが、役に立ちます。

 

 

 全体主義の国では、政治的に失脚すると、その人が写真から消されるそうです。

実際にそうした写真ばかりを集めた本があります。

 ソ連であれば、ある自分物が粛清されると、レーニンの横にいた人が消えたり。

 スターリンを大きく見せるために、位置やサイズを変えたり。

 出版物を検閲したり、修正したり、ということも行われます。

  
 他国や敵とされる団体や民族がひどいことをした、ということを強調したりすることもあります。

 

 

 こうしたことは、普通は「都合の悪いことを消したり、都合の良い情報を作り出したりしている」と捉えられますが、もっと深い意味があります。情報を修正したり歪曲することは、全体主義の成立そのものに関わるからです。

 

 世の中の規範、常識(公共)が成立するためには正統性と協力が必要です。

(参考)→「「正統性」と「協力」~ローカルルールのメカニズムを知り、支配を打ち破る。

 

 健全な社会は、多次元で多元的なので、内部に異論や矛盾を抱えていても成立できますし、正統性も維持することができます。むしろ、異論や矛盾が多元性を担保してくれて、まわりまわって社会の維持に寄与してくれたりもする。
 色々な考えや捉え方があることは良いこととされます。

 

 しかし、ファシズム、全体主義というのは人工的に作り出された一元的なルール、常識にすぎません。ですから、そのままでは成立しようもありません。少しでも人々が疑問を感じてそれが広まれば、崩れていくほど脆いものです。

 

 そのため、ローカルルールが成立するためには情報を修正したり歪曲したりせざるを得ないのです。

 ローカルルールにとって、ローカルルールの影響が強ければ強いほど、情報の歪曲は必須になるのです。

 

 

 以上は国や社会全体の話ですが、個人に置き換えても同様です。ローカルルールが成立するためには歪曲が必要。

 そして、それにはレベルがあります。

 レベル1:感情の歪曲
 
 レベル2:言語の記憶の歪曲

 レベル3:行動の記憶の歪曲

 

 維持するローカルルールが大きければ大きいほど、情報の歪曲の度合いも大きくなる。

 

 どんな人でもローカルルールに影響されていますが、愛着が安定しているなど比較的健康であれば、歪曲は比較的少なくてすみます。

 多くの場合は、レベル1の感情の歪曲までです。

 

 
 例えば、職場の人に腹が立つ、とか、街であった人にイライラする、といったこと。

 

 それらは、実際にその人本来が感じた感情ではないのですが、ローカルルール人格が感じた感情を伝えてきて、その人の感情だと思わせる(歪曲)。

 精神分析で「投影」と呼ばれる現象も、感情の歪曲と言えます。

 

 
 感情の歪曲によって、身近な人に感情を向けさせることで、ローカルルールの破綻から目をそらすことができますから、ローカルルールの延命に役に立ちます。

 

 

 愛着や身体がさらに不安定になってくると、レベル2の「言語の記憶の歪曲」が生じます。
 

 かつては、それらは、愛着や身体が不安定なために起きる、被害妄想や、認知の歪み、関係念慮、記憶の障害のせいだ、という説明をされていましたが、(たしかにそういう説明でもよいのですが)、ローカルルールという考えからすると、説明の仕方は変わります。

(参考)→「「愛着障害」とは何か?その特徴と悩み、4つの愛着スタイルについて

 

 愛着が不安定であるということは、理不尽なローカルルールを代表させられている割合が大きいということ。 
 

 

 本人は、ローカルルールが常識だと思い込まされていて、必死にローカルルール(規範)を守っている。
 一般的に言われるように、境界性パーソナリティ状態の人は、決して規範を守れない人ではない、ということです。

(参考)→「外(社会)は疑わされ、内(家)は守らされている。

 

 

 ローカルルールをまじめに守っている。人よりもローカルルールを強く代表させられている。

 ただ、上に書いたように、ローカルルールはニセの常識ですから、それが成立するためにローカルルール人格は情報を歪めざるを得ない。本当の情報が入ってきたらローカルルールは簡単に壊れてしまいますから。

(参考)→「ローカルルール人格は、妄想や、関係念慮、自分がおかしいと思われることを極度に嫌う

 

 人よりもローカルルールの影響が大きいために、歪曲も大きくならざるを得ない。

 

 そのためには、レベル2以降の「言語の記憶の歪曲」が必要になる。

 言語の記憶の歪曲とは、他者の発言の記憶を歪めるということ。

 

 例えば、「あなたは私に暴言を浴びせてきた!」というような記憶が作られるのです。

 それはその人がおかしいのではなく、支配しているローカルルールが「社会とは暴言を浴びせてくる人がそこら中に存在する」「自分には価値がない」といった内容であるため。

 とくに、人と親密になりそうになったり、信頼が得られそうになると、情報の歪曲が急激になります。なぜ、信頼が得られそうになると壊そうとするのかの理由はここにあります。

 

 普通の穏やかな会話が継続しては、ローカルルールが嘘だということがわかってしまいますから、定期的に人格をスイッチさせて、事実を歪めざるをえない。

 

 さながら、全体主義の国の新聞やTVのニュースのような感覚で。

 

 

 

 さらに、もっと重いケースになると、レベル3以降の「行動の歪曲」になります。

 「相手がひどい表情で私を見た」「暴力をふるった」といったような内容になります。

 レベル3になると頻度は高くありませんが、全く稀でもありません。

 長く臨床をしているとしばしば経験します。

 

 これまでは本人も周囲もわけも分からず、巻き込まれてきましたが、ローカルルールということがわかってくると、対処できるようになります。

 

 治療の現場であれば、言っていることに共感したり、怒りを向けられても謝ったりせず、自信を持って治療者が「それは、ローカルルールのせいですよ」と指摘して、クライアントさんをローカルルールの影響から護る必要があります。
 以前であればそれは難しかったのですが、ローカルルールのことが明らかになるにつれて、容易になってきました。 

 

 歪められた情報、記憶を真に受けると、ローカルルールは延命します。
そのため、それが歪められているということにできるだけ早く気づいて、真に受けないようにすることがとても大切です。

 

 

ローカルルール人格はドロップさせようとすることもある。

 

 ローカルルール人格というのは、内面化されたローカルルールのことです。

 理不尽な親の価値観であったり、その言葉であったりを真に受けたり、それに対抗しようとした結果、内面化されてしまうのです。

 人間というのはモジュール(人格)の集合体ですので、ローカルルールは人格のように悪さをしてくる。

 否定的な考えを沸き立たせたり、はっきり言葉で聞こえてくるようにしたり、ということがおきます。

 

 ローカルルールの目的は、ローカルルールの延命ですから、本当にその方が良くなると困ります。そのために、様々な邪魔をします。

 (参考)→「ローカルルールとは何か?」 

 

 

 大変面倒なことですが、病院の治療やカウンセリングそのものもやめさせようとする(ドロップさせる)ことがあります。

 速く治したいというふうに焦らせたり、
 もう治らないのではないか、と悲観にさせたり、
 治療者への不信をわたき立たせることもありますし、
 なぜかわけのわからない理由で治療そのものを辞めるように否定的な観念が湧いたり、幻聴が聞こえたり、といったことがおきます。

 辞めるのではなく、他の病院、治療者のところに行け、というふうに促されたりすることもあります。

 

 

 もちろん、治療が合わない、といった合理的な理由で病院を変える、治療そのものを辞めることはあります。

 先日、お笑い芸人の名倉潤さんがうつ病で休養されていましたが、途中治療が合わないので奥さんなどの判断で病院を変えてうまく行ったそうです。これはもちろん合理的な判断です。

 

 一方、症状が重いケースを中心に多くの場合はローカルルールの影響で非合理な理由で替えてしまって、治療の機会を失っているということも大変多い。

 

 

 ローカルルールによって引き起こされたものか、そうではないかを判断するのはなかなか難しいのですが、ただ、直感的に違和感を感じていたります。
 
 なんとなくおかしい、というようなこと。

 

 実は、治療も確かに進んでいて、まだ症状が残っているのに途中で辞めるという場合は、ほぼすべてのケースでローカルルール人格の影響があります。
  

 

 ただ、治療者の側のためらい(引き止めることはなかなかしづらい。)もうまく利用されて、ドロップしてしまうことが多いです。

 希死念慮など、重い症状を抱えている場合は、辞めないように誓約書を書いたり、といったことはありますが、そうではない場合、治療者の側もそれを妨げる、引き止めるということは通常しません。

 

 ローカルルールについてもっともっと解明、理解が進めば、治療者も自信をもって「それはローカルルールの影響だよ」といえますが、現状だと、ためらいが出たり、巻き込まれる恐れもあるので、なかなか難しい。

  

 ローカルルールの影響があることが確信を持ってわからないまま関わると、かえってローカルルールに巻き込まれる、ということもありますから、現状は引き止めずに、治療者は淡々と見送ることのほうが良いのかもしれません。

 クライアントさんの中の本来の人格がなんとか頑張ってくれることを期待するしかない。

 

 もし、後日なんらかの機会があれば、クライアントさんの身に何が起きていたかを説明する、というのが一番良いのかもしれません。

 

 

 短期的には、こうしたことの結果、少なからず悩みの解決が停滞したり先延ばしされたりしますので、ローカルルールにとってみれば、ローカルルールの延命工作が成功することになります。

 

 

 治療そのものを妨げるようなローカルルールが見られるケースというのは、重い愛着障害や、トラウマがあるケースが多いです。

(参考)→「「愛着障害」とは何か?その特徴と悩み、4つの愛着スタイルについて

    →「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 

 自分の存在をそのものをだめにするような観念や、将来への悲観、不信が内面化するくらいひどく理不尽な目に過去にあわれてきていた、ということです。

 

 虐待や愛着障害の興味深いところは、単にひどい目にあいました、ということでは終わらずに、必ず、そこで展開されたローカルルールを内面化してしまっているということ。
 そして、いまも親などへの恨みや怒りと同時に、そのローカルルールに健気に従い続けているということ。

 

 境界性パーソナリティ状態が典型ですが、愛着が傷ついているために、自己破壊的な行動をとってしまう。
ケースによっては、依存症といったことにつながったり、自殺企図ということをおこしたり、これも、ある意味(生きることからの)ドロップということになります。

 

 本人の意志ではなく、ローカルルール人格がニセの衝動を仕掛けてきていて、それに巻き込まれているということ。ローカルルール人格のうるささ、不快さから逃れるために問題行動を起こしてしまったりする。

 

 ドロップというのは、ローカルルールに従い続けているということを表す顕著な事象であるということなのです。

 

 

 

(参考)→「ローカルルールとは何か?」 

 

 

 

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ローカルルール人格って本当にいるの?

 「ローカルルール人格って本当にいるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

  ローカルルール人格というのは、心理学や社会学などでも明らかになっている事象をまとめて表現した臨床上の概念です。もちろん、実際に存在しますし、誰でも目で見て確認したことがあります。

(参考)→「ローカルルールとは何か?

 たとえば、「モラルハラスメントの加害者(いじめっ子、ハラッサー)」というものについて。モラハラは本当にあるのか?ということを考えてみます。

 仮に整理するために、

a)概念 + b)物理的な存在 + c)現象

 の3点セットがそろってはじめて、確実にわかる、ということであるとするならば、

a)概念    (モラルハラスメントという仮説で規定)
b)物理的な存在(加害者として物理的に存在していることを確認できる)
c)現象    (ハラスメント行為が目で見て確認できる)

 ということで、明らかに確認できます。

 いじめっ子という存在も、「いじめ」という概念があってはじめて明確になりますが、物理的に存在し、明らかにその行為をしていることを確認できます。

 ローカルルール人格はどうか?といえば、これもはっきり目で見て b)存在 と c)現象 を確認し、実際に接することができます。

 みなさんも自分の目でローカルルール人格を見たことがあります。

 一番わかりやすいのは、最近ドライブレコーダーやスマホの普及で撮られるようになった「あおり運転」の映像。

 あれがまさに「ローカルルール人格」
録画で証拠として撮られていますね。

a)概念    (ローカルルール人格という仮説で規定)
b)物理的な存在(映像で撮られている)
c)現象    (映像で撮られている)

 ということで疑う余地もない、ということですね。

 普段は人の良いおじさん、お姉さんが、車に乗ったら人が変わる、なんていうことはわたしたちも昔から知っていました。あれがローカルルール人格。

 職場の意地悪な人。DVするパートナーなんかもそうです。
物理的に確かに存在します。

 意地悪な行為も目で見て明らかに確認することができます。

(最近は、モラハラ、いじめの現場も音声、動画で残るようになりました。国会議員がローカルルール人格にスイッチして、秘書に「ハゲ~~!」といった記録のもそうですね。)

 心理学の概念や事象は目で確認しづらいものも多いですが、「ローカルルール人格」は多くの人がその目でその存在を知っています。

 (ただ、当事者、本人は自分がローカルルール人格にスイッチしていることがわからないことが多いです。あおり運転の加害者もしかりです。)

 筆者ももちろんローカルルール人格と直接接して話をしたことがあります。
あるときは、ローカルルール人格が暴れてカウンセリングルームの机を蹴られたこともあって、その証拠が今でもヘコミとなって残っています。

 ローカルルール人格とは、ローカルルールを内面化した内的要素のことです。
ローカルルールが伝染する、というのは社会学者などによって指摘されていることで、歴史的にも様々な事件で見られる現象です。

参考)→「いじめとは何か?大人、会社、学校など、いじめの本当の原因

 最近起きた教師間のいじめなども、まさに異常な現象がおきるのは、ローカルルールというものが存在するからです。
保護者からは評判が良かったらしい先生がおかしくなってしまう、というのもこうしたことからです。

 人間は誰もが、人格が分かれている、というのは解離の研究や、性格の研究、脳科学の研究などでは当たり前に指摘されていることです。

(参考)→「解離性障害とは何か?本当の原因と治療のために大切な8つのこと)」

 わたしたちが使っているPCやスマホも、アプリやプログラムが複数動作していますが、わたしたちはまさにあのような感じです。

 人間の脳とは、社会的脳といって、複数のモジュール(ネットワーク)から成り立っているといわれています。

 アメリカの心理学者マイケル・S・ガザニガなどが提唱している仮説です。人間は一枚岩ではなくて、複数のネットワークがいつも並行して動いているような存在です。

 性格検査というものも科学的には根拠がないとされます。関係や場面によって現れる性格が異なるからです。
(社会心理学者が書いた「あなたはなぜ変われないのか 性格は「モード」で変わる」(ちくま文庫)に詳しいです。)

 複数のモジュールが常に動作しているのが人間というものの姿です。

 作家の平野啓一郎さんは、「私とは何か――「個人」から「分人」へ 」(講談社現代新書)という本を書いています。
私とは、一つの個人ではなく、分人の集まりであるということです。

 人間というのは、社会の規範を意識・無意識的に内面化して社会に適応していきます。”内面化”というのは頭で理解して、というレベルではなく、まさに「そのものになるように」「染まるように」適応していく。

 社会の規範というものが、本物の社会であればよいのですが、人間はしばしば、ローカルルールというニセの規範を生み出すことがある。
これも、人間が社会的な動物であることに由来します。

 社会的であることを悪用して、自分の不全感をごまかして、ローカルルールを生み出してしまうのです。

(参考)→「ローカルルールとは何か?

 だから、いじめのような卑劣な現象が生じたり、ストレスがかかると常識的な人が急におかしくなって失礼なことを言い始めたりもする。

 ローカルルールも、頭で知識として格納されるのではなく、まさに染まるようにわたしたちに影響します。内面化されたものは、人格単位で適応し、内外に影響します。それが「ローカルルール人格」というものです。

 ローカルルール人格という存在を意識してみると、自分が被ってきた理不尽な事象がスッキリ解釈できたり、自分自身についても、それまで動かなかった悩みも改善が期待できたりする。

 例えば、多重人格の研究では、人格が変わると、体質も変わってしまうことが明らかになっています。
F・パトナム他「多重人格障害-その精神生理学的研究」(春秋社)

 人格が変わると、実際に薬の効きも変わったりする。薬には薬耐性など、体質的に効かない人がいる。

 だとすると、遺伝子コードが効かない、セラピーが効かない、という場合、人格がスイッチして体質を変えているとしたら・・?

 これまでいろいろのなことをしてみても良くならない、という方は、カリスマカウンセラーが「こんな新しい手法を考えました」と新しい方法を持ってきても、人格がスイッチして邪魔しているのなら、「何をしても効かないんです」ということになりかねない。

 上にも書きましたが、性格検査も、社会心理学では意味がないとされている。
性格もモードによって変わるためです。人格を一つとしていては、その人を捉えられないのです。

 そうであれば、セラピーも人格を一つ、としていては意味がなくなってしまうのかもしれない。まさにセラピーで扱うはずの心理や人格が場面場面で変わってしまうのですから。

 そうではなく、私たちは分人であること、「人格(のスイッチ)」ということそのものに注目してみたら、どうだろうか。

 もしかしたら、「効かない」ということの首根っこも押さえることができるのではないか? もっと、効くようにできるのではないか?

 ローカルルール人格に注目すると、そんな面白いこと(変なこと?)も考えられる。

 このように人格(ローカルルール人格)というものに着目してみると、たいへん便利ですし、皆さんの身の回りのさまざまな事象を捉えたり、難しい悩みを解決することに役立ちます。

 人間は単に”解離しやすいサル”であり、ローカルルールの中にいるからすごく巨大に見えていただけだ、そして、自分も弱く感じられていただけだ、ということがわかってきます。これまでは得体のしれない感じがしていた事象や人が怖くなくなってくる、なんだこんなものか、と感じられてきます。

 わたしたち人間は、現実や社会を適切に捉えることができれば、悩みを自然と修正する力がある、ということなのでしょう。「ローカルルール(人格)」という発見はそのためのとても便利な道具です。

(参考)→「ローカルルールとは何か?

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ローカルルール人格は、妄想や、関係念慮、自分がおかしいと思われることを極度に嫌う

 ローカルルール人格の影響下にあると、関係念慮や妄想を引き起こします。

 関係念慮(妄想)とは、自分とは関係ないことも関係あるとしてとらえてしまうことですが、それが拡大して、相手のなんでもない仕草も、自分を馬鹿にしたり、攻撃したりしている、と認知するようなことも含みます。 
 

(参考)→「「関係念慮(被害関係念慮、妄想)」とは何か?

 

 

 無表情の人を見て、「バカにして笑った」とか、普通の会話を聞いても、「あの言い方はひどい」「私を変な人、おかしな人扱いした」などと歪めて解釈させられてしまいます。

 認知(視覚、聴覚、触覚)を歪められ、疑心暗鬼にさせられてしまうのです。

 

 妄想は、他人にもその方にも害のない妄想であれば、そのままに尊重しますが、 本人にも不利益が生じたり、治療関係が壊れる恐れがあるなど、あまりにもひどい場合は、治療者も「関係念慮の影響があるようですね」と伝えます。

 

 ローカルルール人格というのは、「関係念慮」「妄想」という言葉を極度に恐れます。

 

「関係念慮なんて言葉をいっているうちは私のことを正しく理解できていない。」「狂った人扱いした」「治療者として失格だ」といったようなことも言います。

 

でも、それは全部ウソだったりします。

   

 なぜなら、ローカルルール人格は、そのクライアントさんと支配することが目的です。だから、できるかぎり、そのクライアントさんが世界から孤立するようにもっていきます。

 

 関係念慮は支配ための手段で、疑心暗鬼にして、自分だけを信じなさい、という状態になることが目的です。

 ですから、「関係念慮だ」と気づかれては困るのです。

 

 そこで、「関係念慮」という言葉に強い抵抗を示して、自分の存在を延命させようとします。

 抵抗の激しさからのためらいや、心理臨床は受容を旨とすることから、治療者も通常は伝えることを通常は避けてしまいます。

 

 しかし、ローカルルール人格の存在ということがわかってきた現在では、タイミングを見て、勇気を持って「関係念慮ですね」と伝えることが必要です。
 そうしないと、クライアントさんはなかなかよくならないからです。

 

 もっといえば、尊重し、護るべきは、ローカルルール人格ではなくクライアントさん本来の人格だということです。表面的な抵抗からローカルルール人格の影響を指摘することを避けてしまうことを続けると、治療は長引き、クライアントさんも疲れてしまったり、ローカルルール人格の影響でドロップ(治療中断)させられたりということも起きます。

 

 

 関係念慮の多くは、実は、クライアントさんの家族や、あるいは学校など受けたひどい扱いを内面化したものであったりします。もっと具体的に言えば、家族の歪んだ価値観を真に受けさせられていて、それが人格に感染して、ローカルルール人格として本人を困らせることを始めるわけです。
 
 「関係念慮」とは、特殊な事象ではなく、クライアントさんを呪縛する暗示が認知にまで至った状態ということです。

 

 つまり、関係念慮(妄想)を破ることは、負の暗示から自由になるために必須のものなのです。

 関係念慮(妄想)のさなかに居るときに、そのことに気づくのはなかなか難しいです。ただ、本人もどこかで違和感を感じていたりします。

 

 とくに、疑心暗鬼を感じたり、被害意識、目の前の人への反感を感じたりしたら、それは関係念慮のサインです。

 自分の違和感に耳を澄ませて、そこから抜け出すことが大切です。
 

 

 

(参考)→「ローカルルールとは何か?」 

 

 

 

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秘密や恥、後悔がローカルルールを生き延びさせている。

 

 先日の記事でも書きましたが、秘密というのは、ローカルルールにとっては檻のような役割を果たします。檻は何重にも取り巻き、私たちを縛るようになります。

 この秘密というものは、なかなか厄介です。

 

 ローカルルールとは、公を騙った私的な情動のことです。

(参考)→「ローカルルールとは何か?」 

 そのため、広く知られてしまって、「それ、おかしいんじゃないの」とか「違うよ」とツッコミが入ったり、疑問を呈されたりすると簡単に壊れてしまいます。ですから、それを他人に話さないように秘密にすることでローカルルールは延命できるようになります。

 

 ローカルルールそのものではなく、ローカルルールによって「悪」「恥」とされたものについて、他人に話せなくすることで、ローカルルールはもっともらしく生き残ろうとするのです。

 

 いじめでもそうで、多くの場合は、いじめられていることを家族に話せなかったりする。話せるような環境であれば解決に大きく前進するのですが、家族にもいじめの陰湿さが及んでしまうのではないか、ということでそれができなくなる。

参考)→「いじめとは何か?大人、会社、学校など、いじめの本当の原因

 

 レイプといった犯罪についてもそうで、それ自体もひどい出来事ですが、そうした犯罪を犯す側が持つローカルルールの呪縛(秘密の共有、自分が穢れた、など)を被り続けるという側面もあります。そして、人に話せないということがそのローカルルールを延命させてしまうのです。
 

 機能不全家族において観られる現象に、「ファミリー・シークレット」というものがあります。親が理不尽な振る舞いや、依存症、場合によっては虐待といった家族の中では外に出したくない秘密というものがあった際に、子どもがそれを自らの秘密として背負い続けてしまう、ということです。

参考)→「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

 家族の病気や死といったものを、子どもに言わずに隠す、という行為も、ファミリー・シークレットになる場合があります。

 秘密があることで、社会との関わりが限定されたり、断絶したりすることや、自分そのものも普通の人とは違う、という感覚を持つことで、ローカルルールに縛られ、生き生きとした生活を妨げられてしまう。
 

 さらに、親自身が、ローカルルールに縛られていて、なんでもないことでも秘密にしたったり、世間に情報が漏れることを極度に恐れたり、というケースは結構もよくあります。もちろん、個人情報保護が重んじられるから、ではありません。そうしたことを越えて、過剰に秘密にしたがったりする。
 

 親に影響されて、子どもも知らず知らずのうちに、なんでもないことを秘密とするような傾向を持たされるようになります

 親のローカルルールの延命を子が手伝わされたり、あるいは自分もその呪縛にかかったり、といったことが起きてしまいます。

 

 

 さらに、そうしたことを強化するトラップとしてあるのが「恥」という発作のような感覚です。恥とは、本来、共同体の規範から外れたときに生まれる感情を指します。
 
 規範からみておかしな行動をとったときに「恥」を感じる、というのは自然な感情です。

 しかし、「共同体の規範」というのもが、「本当の社会」ではなく「ローカルルール」がすり替わり、本来ならば「恥」とする必要のないものまで、「恥」として感じさせるようになります。

 例えば過去の失敗や、ちょっとした言動についても、後悔とともに、「恥」の感覚が湧いてくる。
 

 その恥の感覚というのは、感情というような生易しいものではなく、さながら発作のように強くわきおこってきて、その場から飛び跳ねたくなるような、
逃げたくなるような衝動に襲われます。ついつい、恥の発作をそらすために、独り言をつぶやいたりしてしまう。

 

 自分の過去の言動全てが恥であるように思えてきて、関わった人と再度関係を持つことをためらったり、億劫に感じたいさせられるようになります。

 

 実は、これは、ローカルルールに基づく「恥の発作」です。

 

 本当の恥ではありません。造られたものです。
造られたものなのですが、その恥の感覚が起きないように(寝た子を起こさないように)起きないように行動してしまう。
 自分の中にある恥の感覚を刺激されるようなものがあれば、それを避けてしまったり。

 

 
 もう一つ、ローカルルールを延命させる檻としてあるのが「後悔」です。

 「あのときもっとこうしておけばよかった」とか、「あんな行動を取らなければよかった」というような感情です。

 後悔についても、発作のように強く湧いてきて、目を閉じて頭を抱えたくなるような感覚に襲われます。

 これも恥と同じく、それを刺激するようなものは避けたくなります。

 刺激を避けることで結果として知らず知らずのうちに行動は大きく制約されるようになります。 

 

 繰り返しになりますが、ローカルルールとは、偽のルールです。本物の常識ではありません。ですから、その存在の根拠はかなりあやふやで、脆いものなのです。

 しかし、その周囲には、「秘密」というものであったり、「恥」「後悔」といった強い感情といった檻によっってぐるぐるに守られていて、簡単に壊れないような仕組みになっているのです。

 ただし、メカニズムが分かればアプローチしていくことが可能になります。

 
 ローカルルール(人格)の影響を壊して、自由になっていくためには、こうした「恥」「後悔」そして、「秘密」というのものも壊していく必要があるのです。

 

(参考)→「ローカルルールとは何か?」 

 

 

●よろしければ、こちらもご覧ください。

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