人の言葉が気になって頭がぐるぐる回ったり、相手の感情をぶつけられて、恐怖で足元が抜けるような感じがしたりすることがあります。
次に同じことがあったらどう対処しようか?と頭の中でシミュレーションを行ってしまう。
ぐるぐる頭が回って止まらない。
気づいたら時間を無駄にしていて、そんな自分に落ち込んでしまう。
しばらくすると、恐怖や怒りが湧いてきてぐるぐる・・・
という悪循環。
これまでは、ストレスホルモンの働きから説明されてきました。
前回も見ましたようにログインしていないと免疫がオーガナイズされなくなりますから、それはそのままで妥当な説明です。
(参考)→「俗にまみれる。」
ただ、さらに考察を進めていくと、実は、頭がぐるぐるしたり恐怖で足元が抜けるような感じになることも自分のIDでログインしていないからではないか?ということが見えてきます。
トラウマを負った人というのは、過去に受けたトラウマの影響から、同様のストレスを回避するために自分のIDでログインすることをしないままの状態で生きてきました。
さながら、電気屋さんにおいてある見本用のスマートフォンのような状態です。
一応動いているので「これでいいじゃん」と思って使ってきました。
むしろ、「自分は特別で、他人よりも高尚な生き方ができている」とさえ思っていました。
だって、ログインしなくてもいいんですから。
(参考)→「自分のIDでログインしてないスマートフォン」
でも、その内実は、無自覚に他者のIDでログインしているような状態。とりわけ親のIDでログインして、その影響を強く受けていたりする。
いずれにしても、ログインせずに自分というものがないので、本格的になにかに参加することはできない状態。だから、人生の時間がただ流れて、何も積み上がっていかないように感じてしまう。
(参考)→「積み上がらないのではなく、「自分」が経験していない。」
その状態で、他者の言葉や感情に触れるとどうなるか?といえば、冒頭に上げたように、言葉をスルーできず頭がぐるぐる回ったり、感情に触れて恐怖を感じたりするようになります。
ログインするというのは、相撲で言えば腰が入っている状態、ログインしていない状態というのは腰が浮いた状態。
ログインしていない腰が浮いた状態に他者が少しでもぶつかってくるとグラっと来てしまいます。
精神はログインしていなくても、物理的な身体はこの世に存在しています。
精神だけがなにか高尚なものを想定して生きていても、ログインした他者は生の言葉、感情をぶつけてきます。
腰が入っていれば、なんとも無いどころか、逆に「付き合い」「関わり」として楽しむこともできるのですが、ログインしていない状態だと、簡単に倒されてしまう。
さながら、パイロットが乗っていない飛行機やロボットみたいに。
「ログインしないことで傷つかないポジションにいて自分は他者とは違う位置においていたはずなのに失礼な言葉や感情をぶつけられた」
「そんな自分はよほどおかしい(Being)」というショックもあります。
「高尚ではない他者に対する絶望感」さえ感じたりします。
ログインしている状態であれば、この身が自分の所有物であり、他者に侵害されない権利というものを主張することができますが、ログインしていない状態は、モノや土地で言えば「無主物」となります。
他者からしたら「私が触っても別にいいじゃん」となります。
他者から「あなたもの?」ってきかれると、「いや、そういうわけではないんだけど・・」と答えてしまいます。
「所有とかそんな俗なことは超えて、もっと高いレベルの生き方をしたいんだよ」と言いたい感覚なのですが、それではなかなかやっていくことはできない。
自分の身でありながら、無主の共有物みたいなポジションに身を置いて、自分だけが傷つかない位置にいる気がしている、他人はそれぞれの都合で利用します。
いつのまにか、共有物みたいにしていた自分が他人からいいようにされていることに気がついて、ショック、絶望感を感じてしまうのです。
では、どうすればいいか?
普通に自分のIDでログインして、「私の身体は私のものです」「私の心も私のものです」といえばいい。
それだけでも、他人は自分を侵害する根拠を失います。
(参考)→「自他の壁を越える「筋合いはない」」
それを超えて侵害するためには、力ずくになりますが、そうすると、相手は自分自身の正しさの根拠を失ってしまうことになります。
「正当性がないまま、力ずくでおかしなことをしている」という状態になります。
人間は社会的な動物です。自分が社会的に正しいということを繕わないと生きていけない存在です。
ですから、社会的に根拠のないことはできないし、長く続けることはできないものです。
それでも、なんとかしたい場合は、相手はヤクザのようにこちらに因縁をつけるしかなくなります。
因縁というのは、正当性を偽装する行為です。
しかし、これもむりやりですから、因縁をつけられても、こちらが真に受けず、ゆっくり落ち着いて「やめてください」というと、相手は退散していきます。
(参考)→「他者の領域に関わる資格、権限がない以上、人間の言葉はやっぱり戯れでしかない。」
●よろしければ、こちらもご覧ください。