経験が偽装されている

 

 トラウマというと、フラッシュバックや、EMDRのような記憶処理の療法のイメージから、「記憶」の失調、記憶というイメージがあるかと思います。

 そのため、記憶を処理すれば治る、といったような感覚がありますが、実際はそうではありません。長引く場合は、「経験」レベルにさまざまな問題が生じている。

 経験というのは、記憶というような表面的なインフォメーションというようなことではなく、体感レベルで染み付くようなもの。その人にとっては、「事実」として認識されているもの、です。

 そのため、単に記憶の問題だとしてセラピーをしていても、なかなか良くなりません。

(参考)→「記憶の主権

 

 

 しかも、この「経験」というのは、偽装されて刷り込まれています。

 偽装というのは、これまでの記事でもお伝えしてきたように、ゴールポストを動かされて、偽の常識で判断されて、「自分がおかしい」と思わされてきたということです。

 事実というのは予め存在するものではなく、作り出されるものです。
本来は、主観的に自分中心で捉えられるものです。

 しかし、それを自己否定的な価値観が、さも客観的な事実であるかのように刷り込まれてしまっている。

(参考)→「“作られた現実”を分解する。

 

 

 
 さらに、やっかいなのは、多くの場合、複数箇所でその経験は作られる。

 例えば、家の中でも自分を否定されてきた人が、学校や会社でも同じ目に合う。

 Aさんにハラスメントを受けていた人が、他の場所のBさん、Cさんにも否定されるような経験をする。

 そうすると、「こんなにどこでも否定されるということは、さすがに自分がおかしいという事実には抗えない。確定だ」となってしまう。

(参考)→「あなたの苦しみはモラハラのせいかも?<ハラスメント>とは何か

 

 

 これも第三者から見ればわかりますが、主となるハラスメントの加害者によって、自分を否定されていれば、自信なさげに他人に接するようになります。
さらに、同じような人にしつこくかかわってしまって、そこで相手がこちらの自信のなさを利用しておかしなことを言ってくる。
 相手の不全感を引き出すような結果となってしまう。

 それでいろいろな場所で嫌な目にあってしまう、という事実、経験が作り出されてしまうことになるのです。

 しかし、それが自分がおかしな証拠か?と言えば、全くそうではありません。

 「おいおい、自分を騙すな、いいかげんにしろ!」と、そんなおかしなループを見抜いて抜け出す必要があります。 

 
 そのためにも、前回お伝えしましたが、ハラスメントを仕掛けてきた相手や環境は一度徹底的に否定する必要があるのです。

(参考)→「まずは完全に否定する

 

 

 

 

●よろしければ、こちらもご覧ください。

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