機能不全家族の影響が、自分を失わせてしまうメカニズム

 

 

 なぜ、機能不全な家庭において子どもは自分がなくなってしまうのか?

 人間は、社会的動物ですから、まず子どもは近親者を通じて、必要なモジュールをダウンロードして社会的な自己を実装していきます。
 

 スマホも、ネットにつながらなければ、うまく働きません。
 更新がされなければ動かなくなります。

 古いバージョンのOSのままだとアプリも動かなくなる。
 
 機能不全な家族の影響とはまさにそのような感じで、社会的な自己の形成に必要な要素が得られないという感じなのです。

 

 

 「機能」といった場合に、食事や洗濯といった家事をするだけでは十分ではなく、人間として適切に関心を向け、関わり、社会の常識に沿った判断やコミュニケーションを提供することが求められます。

 
 それが何らかの要因で果たされない場合には、子どものソフトウェアが正しく稼働しなくなり、形的にはあるけど、動かないスマートフォンのような状態になってしまうのです。

 

 
 動物でも、牧場や動物園などで生まれて人間に飼育されていると、野生での暮らし方(ソフトウェア)がわからずに野生に戻されても適応できずに命を落としてしまうなんて言うことがあります。

 
 動物にとって野生とは人間にとっての社会といいってもよいかと思います。

 
 機能不全家庭というのは、その社会(野生)で生きるトレーニングがなされない環境というとわかりやすいかもしれません。

 ただ、食事も出る、寝るところはあるけど、動物で言えばただ飼育されているだけ、という状態。
 

 そんな状態で社会に出れば、所在(自分)がなくなるのも無理はありません。

 

 子供の場合、まだ、学校に行っているうちは、強制的にいろいろな活動に参加していてなんとかなっているのですが、20代以降になってそれがなくなると、自分がない、ということが如実に現れます。

 社会人でも、年次が若いうちはまだ「学校スキーム」の延長でなんとかなっていますが、だんだんその効力が切れてくる。

 その結果、仕事でうまくいかない、何をしたいかわからない、となってくる。

 自分が本当に薄く白い靄がかかったようで、わからない。

 

 親への恨みだけが強く感じられるけど、言語化されず、「主体的な反抗」とも言えない。
 (暖簾に腕押しというかんじになり、そのうち、ただ恨みを持つ自分がおかしな人間であるかのかのようになってしまう。)
 

 これまで機能不全家族とか、毒親というと、劇的なケースが中心で報告されたり、本になることがありますが、本当の問題はなんとも言えない薄い機能不全さの影響にあるかもしれません。

 
 そうした機能を果たしていない親の影響の重大さというものは、これからもっと調査、研究される必要があります。

 

 

(参考)→「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

 

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