自分の考え、感情を感じることは「自他の区別」をつけるためには必須のものになります。
人間とは「クラウド的な存在」。環境の影響を受けながら成長し、考えや感情で行動していますが、どれが自分のものでどれがそうではないかがわからなければ自他の区別のつけようがないからです。
(参考)→「人間、クラウド的な存在」「私たちはクラウド的な存在であるため、呪縛もやってくる。」
成長する中で内面化した他者の価値観(理屈≒ローカルルール≒不全感)をそのままにしていると、自分の頭で考えているようでいて、実際は他者の考えを直訳しているだけになってしまいます。
しかもそれは、不全感によるものであるために、「You’r NOT OK」や「Im OK」を得るために、他者を巻きこまざるを得ず、越境を引き起こすのです。
(参考)→「ニセの公的領域は敵(You are NOT OK)を必要とする。」
自他の区別をつけるためには、越境を引き起こす要因を取り除き、自分の中で自足する必要があります。
他者から影響を受けて直訳してしまっている不全感を区別して、自分から切り離していく。
そのためには、自分の考え、特に感情を感じることはとても大切です。
(参考)→「内面化した親の価値観の影響」
ただ、どうしても、自分の考えや感情を感じることにブレーキが掛かることがあります。
その場合は、実は、過去の養育環境などで、「感情とは悪いものだ」と思わされたり、「自分はアテにならない(だから、自分の考えで考えたら間違えてしまう≒他者の考えに従わなければ)」とされてきたという場合がよくあります。
たとえば親などが不安定で、急に感情的になったりするような環境であったために、「自分はあんな感情的な人間にはなりたくない」と反面教師にしていたり、あるいは、自分の素直な感情を出したらそれを否定されてきたり。過干渉な養育者から考えを強制されてきていたり。
マインドコントロールの手口に似ていますが、とにかく「あなたの感覚、考えはおかしい」となれば、自分の考えを刷り込みやすくなりますから、相手の足腰を折ることは、過干渉やローカルルールを押し付けるための前提となるのです。
単に支配を強制するために「あなたの感覚、考えはおかしい」といっているにもかかわらず、真面目にそれを真に受けてしまうと、内面化した他者の価値観(理屈≒ローカルルール≒不全感)は、自分のものだと思いこんでしまい、取りづらくなります。
「感情とは悪いものだ」「自分の考えはおかしい、当てにならない」という感覚の背景には、他者からのどういった影響があるのかも探ってみると、自由になるきっかけを得られたりします。
子どもの感情を親がおそれていただけだった、とか、親が単に自分の不全感を発散させたいために行っていた、反面教師にしていただけだ、ということがわかれば、「感情は悪いものだ」ということを持ち続ける根拠はなくなります。
自分の考え、感情を制約なく感じることができるようになれば、「自他の区別」を取り戻すことができるようになります。
(参考)→「感情は、「理屈」をつけずそのまま表現する~自他の区別をつけて、ローカルルールの影響を除くトレーニング」
(参考)→「ローカルルールとは何か?」
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