カウンセリングをしていてしばしば尋ねられることとして、「私は、発達障害ではないでしょうか?」というご質問です。
自分があまりにも仕事や人間関係がうまくいかないために、「自分はもしかしたら?」と尋ねてこられるのです。
多くの場合は、そうした疑い、不安とは当然ながら的を得たものではなく、単に自分の生きづらさや症状を説明する言葉を求めてのことです。
(中には、ただ「自分はだめな人間だ」とおっしゃりたいがために、発達障害という疑いを持ち出していらっしゃるケースもあります。)
(参考)→「あなたが生きづらいのはなぜ?<生きづらさ>の原因と克服」
一方で、そうした疑いが全く意味がないものではない、ということもあります。
なぜなら、トラウマによって、発達障害と酷似した症状が生じることは知られており、そのことを専門家は「第四の発達障害(発達性トラウマ障害)」と呼んでいるからです。
これは、発達障害などを専門にする医師などが、被虐待児を見る中で、被虐待児の症状が発達障害と症状がそっくりであることに気がつくようになったことから始まりました。
それまでは、発達障害と診断されていた子どもたちが、背景を尋ねる中で、虐待を受けてきていることが明らかになります。
発達障害と思われていたものは、実はトラウマによって引き起こされた症状だということがわかったのです。
(参考)→「大人の発達障害、アスペルガー障害の本当の原因と特徴」
さらに、虐待とまではいかなくても、慢性的に続く家庭内などでのストレスを受け続けると同じように発達障害に類する症状を呈するようにもなります。
先天的と思われていた発達障害が、近年急増していることは知られていますが、その急増の原因は、実は、周辺に存在していた愛着障害やトラウマによる症状が発達障害と誤診して取り上げられていることが大きな要因ではないか?と指摘されています。
つまり、これまで発達障害と診断されてきた、疑われてきたものの多くにトラウマや愛着障害など後天的な環境要因のケースも多々含まれているということです。
では、なぜ、トラウマ、と発達障害という全く別の概念による症状が、同じような症状を引き起こすのでしょうか?
偶然にしては出来すぎています。
なんらかの共通する要因を持たなければそのような現象は生じないはずです。
では、その”共通要因”とはなにか?
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