筆者が、休みの日にテニスをするのですが、素人のテニスは、大体ダブルスで試合を行います。
参加者も、男性もいれば女性もいるし、年齢もバラバラですから、いろいろな人とペアになります。
ダブルスだと、守備範囲をどう捉えるかは結構難しく、
上手くない段階だと、本来自分の範囲を見逃したりすることもしばしばあります。
筆者の場合でしたら、例えば後衛にいて、本来だったら前衛の人が拾うはずのボールまでカバーに行ったりして、
よく考えると、人のボールまで拾いに行っているな、と気づいて、なんかちょっとおかしいかも?と思うことがあります。
これって自分の責任ではないものまで拾っているのかも、と。
そうこうしていると、本来の守備範囲が開いてしまって(ダウン・ザ・ラインを決められたりして)、本末転倒になってしまうことがあります。
うまい人は、ポジションの取り方、守備範囲の見極めが上手で、
任せるところはしっかり任せることができます。
日常に置き換えると、似たようなことは起きています。
寛容な気持ちになれなかったり、人に対してネガティブな感情にさいなまれたりするとき、私たちは、「自分は器が小さいな」と思うことがあります。
普段いろいろなことに気をもんで、対処しようとしますが、うまくできない。
反対に、自分のペースで物事に取り組み、他人に対してもネガティブな感情にさいなまれることが少ない人がいる。
それと比べて、自分を責めてしまう。
「ああ、自分はダメだなあ」と。
思い直して頑張って、器を大きくしようとすればするほど、いっぱいいっぱいになってうまくいかなくなる。
この繰り返しで、自信がなくなってくる。
なぜこのような悪循環となってしまうのか。
ここにも「ニセの責任」というものが絡んできます。
悩める人の器には、「ニセの責任」がいっぱい乗っていて、どれも本来は自分の責任ではないものばかり。
これまでの人生で、自分の守備範囲ではないところまで幅を広げて、ボールを取りに行って、あちこちの責任を自分のものとしてかき集めてきていた。
そこでミスが起きたりして、自分を責めたりする。
さらに、「代謝」がないので、終わりがなく、風化されずに残ってしまう。
トラウマを負った人は、実は能力がとても高い。
共感性が高く、責任感が強く、それらを自分で引き受ける度量(器)もある。
でも、どんなに高性能のコンピュータでも容量が残っていないと、パフォーマンスが低下するように、容量に一杯に「ニセの責任」を抱えたままでいるので、力が出せない。
そして、さらに頑張らなければ、また「ニセの責任」を引き受けようとしてしまう。
余裕がない人のことを形容して、「いっぱいいっぱいになっている」といいますが、まさに言い得て妙です。
パーソナリティ障害など難しいケースを見ると、その通り、みな「いっぱいいっぱい」です。
反対に、健康な人、
自分よりも器が大きいように思える他者は、実際の器が大きいのではなく、自分の責任として考える範囲がとても小さく、器の上にニセの責任がほとんど乗っていないだけ。
「いっぱいいっぱい」ではなく、空きが十分にある。
ある意味分をわきまえているので、パフォーマンスが良い。
他人にかかわらないから、器が大きく見えている。
非力なはずの電卓がサクサク動くのと同じ。
本来、人間は自分がとらないといけない責任は限りなく小さいのです。
他人の感情や考え、行動は、基本すべて対象外。
例外とされがちな、家族やパートナーに対する関係も、機能によってなりたり、あくまで愛想が尽きるまでのこと。無限の情などは存在しない。
(参考)→「「無限」は要注意!~無限の恩や、愛、義務などは存在しない。」
自分のせいだとされているときは、因縁をつけられているだけ。
(参考)→「因縁は、あるのではなく、つけられるもの」
本当は自分には能力もあるし、器も大きいと気づく必要があります。
器の大きさは守備範囲の狭さ(適切さ)にこそある。
そして、本来いるべきポジションにいないといけない。
本来のポジションにいないと実際に外から見た自分の姿とが埋まらず、そのギャップが嫉妬や支配を招いたりするようになるのです。
(参考)→「私たちは相手から見ると、思っている以上によく見えている。」
生きづらさを抱えている人は、本当は力がある。大きな器を持っている。
(参考)→「あなたが生きづらいのはなぜ?<生きづらさ>の原因と克服」
ただ、能力の高さを利用されて、たくさんのニセの責任が乗ってしまっているし、さらに、嫉妬や支配で魔法をかけられて、ニセの責任が「終わらない魔法のリンゴ」となってしまっているだけ。
これらを免責して、“空き”を作っていく必要があるのです。
(免責する必要さえないかもしれない、なぜなら、自分の責任ではないのですから)
(参考)→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服」
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