ファインプレーを目指そうとする

 

 トラウマを負った人の特徴として、対人関係や仕事においてファインプレーを目指そうとする、ということがあります。

 

 その大きな原因は、養育環境が親の気分に左右される理不尽な環境だったから。

 大人でも他人の理不尽さに合わせるのは大変です。完全に合わせようとするとノイローゼになります。実現するのは無理なことです。

 子どもは、他に比較するものがありませんから親が理不尽なのは自分のせいだと思い、なんとか合わせようとします。

 すると、平均点の対応ではなく、相手に完全にフィットさせるファインプレーでなくてはなりません。

 親の機嫌という不安定なものの間に、針の穴を通すような対応をしようとします。相手の機嫌を伺い、心の隙間を縫うような応対をしようとします。それがうまくいくときもありますから、次からもファインプレーを目指そうとします。

 

 たとえば、親が機嫌が悪い時に、何か喜ばせるようなことを言って、たまたま親が喜んだ、顔がほころんだ、といったようなことです。

 

 反対にうまくいかないときは、自分をすごく責めます。

 「自分はうかつな人間だ」「なんでもっと先回りして気が付かなかったんだ」と

 

 そのうち「過剰適応」になってきます。

 

 大人になると、いろいろなことに気が付きますが、気が付きすぎてヘトヘトになります。

 

 仕事においても、ファインプレーを目指そうとします。
最初のうちは良いのです。「〇〇さんはやる気があるね~」なんて、評価されます。

 でも、だんだん空回りしてきて、評価が下がってきます。

 なぜかというと、平均点の対応を安定してし続けることが苦手だからです。平均点だと不安になってくる。ちょっとしたミスでも自分を責めるために、自己肯定感が低い。
 ファインプレーを見せないと捨てられる、見捨てられる不安もある。
 
 そのため、仕事や対人関係がうまく行かなくなってくる。

 「いつも最初はいいけど、徐々に評価が下がるんです」という裏にはこうした事があることが考えられます。

 

 

 関係のプロトコルのズレも影響し始めます。

(参考)→「「関係」の基礎~健康的な状態のコミュニケーションはシンプルである

    →「「関係」の基礎2~公私の区別があいまいになると人はおかしくなる

    →「関係の基礎3~1階、2階、3階という階層構造を築く

 そのうち、周囲も悪く影響されて、こちらを責めるようになってくる。そして、居づらくなって、退職に追い込まれる。

 

 仕事においては、ファインプレーは必要なく、常に平均的、安定したことを繰り返し続けることが大切とされます。ただ、トラウマを負っていると安心安全という感覚が弱いため、また、ファインプレーを必要とする”戦場”にいたためにそれができないのです。

 

 そうしたパターンに気づいて、「あっ、平均点だけでいいんだな」と思えると、徐々に抜け出すことができます。

 

 

 

(参考)→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 

 

●よろしければ、こちらもご覧ください。

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