親が子に植え付ける負の暗示

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 私たちは、まさにそのものといってもよいくらいに環境を内面化しています。環境≒自分 といっても過言ではありません。一番の影響は、長い時間を過ごす家族からの影響です。

 

 

 セッションをしていて、クライアントさんからよく耳にする親からの暗示は、
「あなたは素直ではない」

「あなたは、(家族親戚の中で厄介者とされている人物)によく似ている」

「あなたは協調性がない、どこに行っても通用しない」
など、といったこと。


 親がどうしてそんなことをするのか?ということは、おそらく突き詰めれば、生物学的にどうもそうらしいとしか言えませんが、

 

 親だから愛情を持っている、というのは神話で、
親も子に嫉妬するし、恐れるし、
子育ての大変さにイライラもするし、
家庭の中も小さな社会だから、そこを支配しようという支配欲もあります。

 

 
 支配のために手っ取り早いことは、裏ルールは隠して、表ルールのきれいごとだけでゴールポスト(善悪の基準)を勝手に動かすこと、

 ゴールポストを勝手に動かしていると、そのうち子供も疑問を持ち始めます。
それをごまかすために次にすることは偽の成功例(失敗例)を作ること、派閥を作ること。

 

 兄弟がいれば、兄弟に理想の「優等生」を作って、
それに従わない子を「素直じゃない」として貶めます。

 

 実際に成功例があるものだから、叱られた子は真に受けてしまい、自分を責めて追い込んでしまいます。

 

 皮肉にも、素直であればあるほど「素直じゃない」といわれるものだから、さらに素直になろうとして、親からの罵倒を内面化してスポンジのように吸収してしまいます。

「素直じゃない」とはかくも恐ろしい言葉です。

 

 

 兄弟がいない場合(いる場合でも)は、家庭の外に理想の優等生像を作り出します。親戚や近所のお兄さん、お姉さんだったり、架空の子どもだったり。

 あるいは、親戚の厄介者、たとえば鼻つまみ者で知られるおじさん、おばさんを例に挙げて、「あなたはあの人に似ている」と繰り返し子供にレッテルを貼ります。

 

 すると、子どもはそのレッテルをはがそうと一生懸命自分を変えようと努力します。
よく考えれば、そんな努力は最初から必要ありません。
なぜなら、そのレッテルは真実ではないから。

そうして努力をしているうちに、自然の植物を造花にするかのように、本来の自分が歪められ、自分が何かもよくわからなくなってしまいます。

 

 

 

「あなたはどこに行っても通用しない」というのもすごい暗示です。

 常に、根拠なく、自分は異質で他者から受け入れられない恐怖を植え付けられます。その恐怖から逃れるために、対人関係で必要以上に気を使ったり、相手に合わせたり、ということをしてしまうようになるのです。


 そして努力して、自分を変えようとして、苦しみを与えた加害者であるはずの親に、そうとは知らずに、「私は変わった?」「いい子になった?」と承認を求めてしまうのです。すると、またゴールポストを勝手に動かされて、苦しみを与えられるという無限ループにはまっていっています。もし、認められるとしてもそれは「行動の結果」であって「存在そのもの」を認められることはないのです。

 

 詐欺師にだまだれた人が、だまされてもなお詐欺師を信じて「どうしたらいい?」と当の詐欺師に相談するかのようです。とんでもない矛盾ですが、こういうことが起きます。

 

 

 

 自我の形成期である、子どもにとって親は“神様”です。
“神様”から、上記のような負の暗示を植え付けられるわけですから、その暗示はなかなか落とせるものではありません。

 

 よくセラピーで「真のビリーフ」「コアビリーフ」などといって、それらを解きます、と喧伝するものがありますが、本当にうまくいったケースを聞いたことがありません。
なぜなら、“神”からのご託宣ですから。セッションで変えようとしても上書きされてすぐまた元に戻ってしまうのです。

 

 

 

 結局、クライアントさんは、その答えの出ない暗示をずっと解こうとしてぐるぐる考えさせられています。

「どうすれば素直になれるのか?」
「人と仲良くするためにはどうすればいいのか?」
「自分は、人とは違って本質的におかしな人間なのではないか?」

 

 そして、親は、自分たちにとって都合のよい「表のルール≒二階部分」しか教えていませんから、子どもは、裏ルール≒1階部分が分からないまま、痛い目にあい続け、特に人間関係で負け続けてしまいます。

 

 人に聞いてみても、裏ルールは野暮なことで誰も教えてくれません。本当は、皆それぞれに不幸で、それぞれにうまくいっていないものなので、チキンレースをしていたりするのですが、それは隠されたまま、自分はできていると見栄を張ったままです。

 

 うまくいっているように見える他者に

「どうすれば素直になれる?」
「私っておかしくない?」

と相談すれば、

 

「もっと話し方を変えれば?」
「明るくすればいい」
「空気が読めないからじゃない?」
といったような余計なアドバイスが返ってきて、

 

 真面目な子供はそれを真に受けてしまい、

「(他者はできているのに)自分だけできていない」
「(他者はできているのに)自分は友達もいない」
「(他者はできているのに)自分は仕事もできない」

として、
また自分を変えるための当てもない努力を強いられることになるのです。

 

 

 その頭の中では、

「あなたは素直ではない」

「あなたは、(家族親戚の中で厄介者とされている人物)によく似ている」

「あなたは協調性がない、どこに行っても通用しない」

という親の暗示が、ずっとこだましています。

 

 

 

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