ローカルルール人格は、妄想や、関係念慮、自分がおかしいと思われることを極度に嫌う

 ローカルルール人格の影響下にあると、関係念慮や妄想を引き起こします。

 関係念慮(妄想)とは、自分とは関係ないことも関係あるとしてとらえてしまうことですが、それが拡大して、相手のなんでもない仕草も、自分を馬鹿にしたり、攻撃したりしている、と認知するようなことも含みます。 
 

(参考)→「「関係念慮(被害関係念慮、妄想)」とは何か?

 

 

 無表情の人を見て、「バカにして笑った」とか、普通の会話を聞いても、「あの言い方はひどい」「私を変な人、おかしな人扱いした」などと歪めて解釈させられてしまいます。

 認知(視覚、聴覚、触覚)を歪められ、疑心暗鬼にさせられてしまうのです。

 

 妄想は、他人にもその方にも害のない妄想であれば、そのままに尊重しますが、 本人にも不利益が生じたり、治療関係が壊れる恐れがあるなど、あまりにもひどい場合は、治療者も「関係念慮の影響があるようですね」と伝えます。

 

 ローカルルール人格というのは、「関係念慮」「妄想」という言葉を極度に恐れます。

 

「関係念慮なんて言葉をいっているうちは私のことを正しく理解できていない。」「狂った人扱いした」「治療者として失格だ」といったようなことも言います。

 

でも、それは全部ウソだったりします。

   

 なぜなら、ローカルルール人格は、そのクライアントさんと支配することが目的です。だから、できるかぎり、そのクライアントさんが世界から孤立するようにもっていきます。

 

 関係念慮は支配ための手段で、疑心暗鬼にして、自分だけを信じなさい、という状態になることが目的です。

 ですから、「関係念慮だ」と気づかれては困るのです。

 

 そこで、「関係念慮」という言葉に強い抵抗を示して、自分の存在を延命させようとします。

 抵抗の激しさからのためらいや、心理臨床は受容を旨とすることから、治療者も通常は伝えることを通常は避けてしまいます。

 

 しかし、ローカルルール人格の存在ということがわかってきた現在では、タイミングを見て、勇気を持って「関係念慮ですね」と伝えることが必要です。
 そうしないと、クライアントさんはなかなかよくならないからです。

 

 もっといえば、尊重し、護るべきは、ローカルルール人格ではなくクライアントさん本来の人格だということです。表面的な抵抗からローカルルール人格の影響を指摘することを避けてしまうことを続けると、治療は長引き、クライアントさんも疲れてしまったり、ローカルルール人格の影響でドロップ(治療中断)させられたりということも起きます。

 

 

 関係念慮の多くは、実は、クライアントさんの家族や、あるいは学校など受けたひどい扱いを内面化したものであったりします。もっと具体的に言えば、家族の歪んだ価値観を真に受けさせられていて、それが人格に感染して、ローカルルール人格として本人を困らせることを始めるわけです。
 
 「関係念慮」とは、特殊な事象ではなく、クライアントさんを呪縛する暗示が認知にまで至った状態ということです。

 

 つまり、関係念慮(妄想)を破ることは、負の暗示から自由になるために必須のものなのです。

 関係念慮(妄想)のさなかに居るときに、そのことに気づくのはなかなか難しいです。ただ、本人もどこかで違和感を感じていたりします。

 

 とくに、疑心暗鬼を感じたり、被害意識、目の前の人への反感を感じたりしたら、それは関係念慮のサインです。

 自分の違和感に耳を澄ませて、そこから抜け出すことが大切です。
 

 

 

(参考)→「ローカルルールとは何か?」 

 

 

 

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