ベイトソンが世の二階建て構造を“発見”した


 

 世の中が二階建てになっていることを最初に“発見”したのは、人類学者のグレゴリー・ベイトソンではないかと思います。

 

 ベイトソンは有名な、コミュニケーションにおける“ダブルバインド”を発見し、それが統合失調症の原因であるとしました。
(統合失調症の原因であることは現在は否定されています。)

 

 ダブルバインドとは、矛盾するメッセージのことです。

 

 例えば、相手を殴りながら、「愛している」と囁いたり、といったことです。殴る=攻撃、虐待 というメッセージに矛盾する「愛している」というメッセージが混乱をもたらすわけです。

 矛盾するメッセージに囲まれると私たちは学習のメカニズムが停止してしまって、神経症(トラウマ)に陥ってしまうわけです。

(参考)→「あなたの苦しみはモラハラのせいかも?<ハラスメント>とは何か

 

 

 例えば、親が虐待する、友人が裏切る、 ということも、「親≒安全基地」というメッセージと、「虐待」が矛盾をきたす、「友人≒仲間」というメッセージと、「裏切り」が矛盾をきたして、実際の行為以上のダメージを私たちにもたらします。
特殊なことではなく、ある意味世の中はダブルバインドだらけです。

 ベイトソンは、ダブルバインドの発見を通じて「世の中が二階建てになっていますよ」ということを見出した、といえます。

 

 

 

 中が二階建て構造であることを身に着けるためには、安定した愛着を背景にして、“親”の導きを得ながら、社会でもまれていく必要があります。“親”というのは必ずしも生みの親とは限りません。親方、先輩などいわゆる育ての親です。

 

 一階部分では、「攻撃」や「裏切り」といった邪念も相手から飛んできます。それらをそういうものだ、とあたかも自然科学者が自然を見るようにいなしながらノイズを中和して、そのうえで二階部分で他者とやり取りをする。

 

 二階部分とは、「信頼」や「愛情」ということです。

 

 二層にわけることで傷つくこともなく、社会と付き合えるようになります。
昔は、“仕事”が日常のあちらこちらにありました。
そのために、仕事の技能を通じて、二階建てをクリアする方法を学んだものです。

 

 例えば、商人は、人間のややこしい部分も知りながらも、それら(一階部分)を中和する世の仕組みを学び、そのうえで、「信頼」で商売を発展していきました。

 

 そうしたことを知らない人は最初からきれいごとのみで仕組みを知らずにいては、手痛い目にあってしまいます。職人もそうです。技術が一階部分で中和する役目をはたして、二階部分を築く役割をしていました。
(もっとベタに言えば、親方や兄弟子、客や卸先との邪念も交えたやり取りも、技術を通じたコミュニケーションが中和してくれたといえます。)

 

 消費社会で、かつ非定型な仕事が増えた現在では、“仕事”も私たちを守ってくれにくくなっているといえます。

(参考)→「あなたが生きづらいのはなぜ?<生きづらさ>の原因と克服

 

 

 

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