更新されない記憶と時間感覚

 

 

 トラウマを負った人が、昔の友達と久しぶりに会うことがあります。話をしますが、当人が覚えていることを、相手が全く覚えていないのです。
「こんなことあったよなあ?」と聞いても、
「そうだっけ?」となります。

 

 覚えていたとしても、形が全く違うのです。
単に、時間がたってしまったから覚えていないといったことだけではなく、世界観自体が違うような感覚に襲われます。

 

 向こうは更新(アップデート)されているのに、自分は全く更新されていないんだ、といったことに気が付くのです。

これはまさに、トラウマを負った人に特有の感覚です。

同窓会はとても違和感を感じます。

 

 

 

 実は、人間は、ホルモンが正常に働いていると代謝の機能で、身体も心はどんどんと更新されていきます。記憶も処理されて過去のものとなっていきます。それは、単に薄れていく、といったことではなく、あり方自体が変わっていくような感覚。


 普通の人は、失敗やミスがあっても、数日、どんなに長くても3年程度で更新(アップデート処理)されてチャラになっていきます。
 人間関係の貸し借りもそうです。チャラになっていくのです。

 

 
 ずっと長く恨んだり、悩んだり、ということはトラウマティックで、異常な事態です。

 

 

 
 トラウマを負った人の記憶は更新されず、無限性をもたされて、そのなかで罪や恥の感覚に苦しみ続けます。

 でも、時間の見え方は、ループするというよりも、直線状にずーっと続いている感覚。なぜ直線状になって見えるかといえば、更新されて消えないからです。更新されれば、直線は非連続になるのです。

 

 トラウマを負った人は、自分には代謝(更新処理)がなく、ずっと若い、幼いままである、という感覚があります。

 

 

 一方、普通の人は、逆に更新されて有限で、時間は直線ではなくて、点として感じられる。なぜなら、過去は処理、更新されるから。カウンセリングで理想の状態である「今・ここ」という感覚を体感しています。

 時間の感覚が全く異なります。

※前近代の日本人は、正月が来ると歳がリセットされる、といった感覚だったそうです。直線で時間が続いているというよりも環やらせんになっているような感覚。
現代人よりも、「今・ここ」という感覚に近いかもしれません

 

 

 冒頭の旧交や、同窓会の例でも、同じペースで更新処理されている者同士であれば、同じ経験を共有できるのです。

「懐かし~!」と言い合えるのです。

 

 ご近所同士や職場や知り合いとの会話も、同じペースで更新しあえれば、やり取りはスムーズにいきます。

 でも、トラウマを負った人は更新処理されていないままで、ペースがずれるため、他者と通じ合えず違和感を強く感じてしまうのです。

 

 

 

 

(参考)→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 

 

●よろしければ、こちらもご覧ください。

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