トラウマを負っていると対人関係が、理由がわからないのに、うまくいかない。トラブルを抱えてしまう、ということがあります。
ちょっと一言いえばいいのですが、必要なタイミングで出てこずに、誤解されたり、小さな反感を買ったり、といったことが起こります。
仕事では上司やお客さんとの会話では、社交辞令などが求められますが、それがタイミングよく出てこずに損をしたりします。
例えば、年齢の話題になったとして、
「55歳です」と相手が言ったとしたら、
多くの人は、
「見えませんね~」とか、「お若いですね」
とほぼ自動的に言ったりするのでしょうが、
トラウマを負った人は、頭で考えて、何を言えばいいのかな、と考えているうちに機を逸してしまいます。
相手からしたら、なんでもないやり取りなのに普通なら飛んでくるはずの一言がこないから、「?!」となってしまう。ちょっとずつ反感、違和感が積み重なっていく。
気を使っていないわけではありません。むしろ普通の人よりも気を使ってへとへとになるくらいです。
でも、肝心な一言はタイミングよく出ない。億劫な感じであったり、言っていいのかどうなのかが分からずに逃してしまいます。
礼儀やマナーが積み上がって、身についている感覚がない。礼儀やマナーも一体感の感覚とともにあるので、どの波長の時に、どう対応するのか、という体感的な記憶が薄いのです。だから、知識では知っているし、むしろ社会性過多なのに礼儀やマナーに自信がない。自分が行った反応が正しいのか、そうではないのかがわからない。
自分は根源的に変なのではないか、という恐れもそこに拍車をかけます。
一方、気を使いすぎて、余計なことを言ってしまうときもあります。その時はとても上ずっているようで、腰が据わっておらず、トーンもずれて一体感もないので居心地が悪い状態です。
これらからわかるように、トラウマを負った人には、真ん中の状態、ニュートラルの状態がほとんどないのです。
両極を動いて、止まらない。リラックスや自然体が分からないのです。
トラウマを負っていると、ストレス応答系に失調をきたします。
ストレス応答系とは、簡単に言えば、ストレスに対処してくれるものであり、自動で相手とのラポールを形成して、レスポンスをしてくれるものです。
そのシステムが機能してくれていません。
そのために、頭で考えてマニュアルで反応しないといけない。だから頭はヘトヘト。でもその労力の割に、マニュアルだから反応は遅いし、反応ができないときがある。
適切な一言が出てこなかったりするのです。
適切な~ は言葉である必要はありません。
無口な人でも、人の中で一体感があって、人とつながっている人もいます。飲み会でも口数は少ないけど、溶け込んでいる人を見たことがあると思います。
それは、ストレス応答系がオートマチックに働いてくれているから。
こうした自動的に働いてくれる機能が失調状態にあることが、一言が出ず、対人関係がうまくいかない要因の一つとなります。
(参考)→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服」
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