「ハウルの動く城」にみる、呪いの呪縛と自由のプロセス

 

宮崎駿監督の映画で「ハウルの動く城」という作品があります。

ソフィーという女性が、魔法使いハウルに出会い、その中で、魔女に呪いをかけられておばあさんになってしまうお話です。

 

ハウルという魔法使いは、魔法で自分の城(動く城)を作って動かしています。

 

ハウル自体の評判は芳しいものではなく、
人の心臓(心)を奪って食べるとか、国に仕える偉い魔法使い(母親?)からも危険視されています。

 

ハウル自体も呪いを背負って生きていて、
そこから脱しようともがいて、戦っています。

 

大きく見える城もハリボデで実は中身はぐちゃぐちゃだったり、
本当は魔法が怖くて、まじないで何とか防いでいたり、
また、ハウルはいくつもの名前を持っていたり、
(「ハウルって一体いくつ名前があるの?」と尋ねられるシーンでハウルは、「自由に生きるのにいるなだけ」と答えます。)
とっても子供っぽかったり、

トラウマを負った人の姿をよく表している、と思います。

→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 

トラウマを負っていると、
ハリボテのように虚勢を張っていても内面はぐちゃぐちゃ、
自分も他人を傷つけるような言動をしてしまったり(心を奪ったり)、
いくつもの名前を持っているのは、自分というものがよくわからない状態
実年齢に比べて子供っぽく、周りの人たちは大人だと見ています。

 

魔法使い、というのはセラピストの姿とも重なります。
魔法で呪いを解けそうなものですが、実際はなかなか解けませんし、魔法使い自体も呪いに翻弄されていたりします。
(最後は魔法ではなく、愛の力で呪いは解けていくのですが・・)

 

ハラスメントの研究をされている大阪大学の深尾葉子准教授は『魂の脱植民地化とは何か?』という本の中で
「「魂の脱植民地化過程」の描画として本作品を観ると、透徹した一貫性、徹底した描写、完璧なまでのストーリー展開と人物配置で構成されている。」

「「城」は人間の内面世界をそのまま具像化したものであり」「物語全体は、心と魂の乖離を乗り越え、呪縛の快方に向かうプロセスとして展開する」

「ここには、さまざまな精神疾患、たとえば、自閉症や分裂症といった心の病を生きている人々の内面ばかりではなく、「正常」だとされている人々が日ごろ気づかないようにしている心の内奥や魂との断裂、魂との乖離しつつ外面的に構成されているいくつもの人格、そういったものが、見事に視覚化され、映像化されている」としています。

 

 

親子関係、発達、様々な心の悩み、そしてトラウマが解消されていくプロセスと重ねてみると、とても面白い。様々な示唆に富む作品です。

 

原作はこちら↓

 

 

 

→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 

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トラウマを負うと一元的価値観になる

 

 トラウマを負った人(不安定型愛着)の特徴の一つとして、一元的な価値観になる、ということがあります。

 

 一元的価値観とは何か?というと、簡単に言えば、善悪(正誤)の基準がこの世で一つだけ、ということです。

 

 トラウマを負うと、この世が危険な場所であると感じられ、常に漠然とした不安になります。不安から逃れる方策として、どこかに絶対の価値観があるという観念を持ったり、自分がその価値観から外れた罰としてトラウマを負ったのだ、という感覚を持つようになるのです。

 

 さらに、トラウマは人から、特に親から、負わされることがあります。本来であれば、親に対しては、反抗期を経て、自らの価値観を確立して、多元的になるものです。

 

 しかし、トラウマの影響で、親には反発しながらも、依存させられる、ということが起きるために、本当の意味での反抗期を経ることができません。結果、世界が絶対的な一つの基準でできている、といった価値観を自然と持ってしまいます。


 一元的価値観があると、その価値観の中で力の強いものが上位に来て、そうではないものが下位に来て、支配されてしまう、ということが起きます。

 

 そのため、トラウマを負った人は、常に、どこか自分はダメなおかしな人間だとして、自信がありません。また、社会に出ると、その場で力の強い人にいいようにされたり、支配されやすい傾向があります。

 

 逆に、躁的防衛として、妙に尊大になって、相手を見下したり、自信満々になりますが、周囲に反発されると脆い性質があります。


 とってもピュアで理想主義的ですから、自分の価値観を他者に押し付けてトラブルになりがちだったり、他人が高い理想を求めないことについて落胆することがあります。

 

 よくあるのは、感情的になったり、他者の悪口などの意識の低い発言をする身近な人を見て、「なんで、この人はもっと高い精神性を持つように努力できないんだろう? 気が付けないんだろう?」と感じてイライラする、といったことです。

 

 

 一元的価値観ですから、他人も自分と同じように考えるはずだ、として、相手に期待しますが、当然ながら相手は同じようには考えてくれずに、失望してしまいます。

 

 

 さながら、テロリストのような心性をもっています。
(理想主義的で、モチベーションが高く、正義感も強く、他人に期待して失望する、ということです。)

 
 自他の区別がつかないために、相手の言葉を真に受けやすいです。
なぜなら、一元的価値観ですから、相手の言葉≒事実 として受け取ってしまうからです。

 「相手は相手。自分は自分」とは思えないのです。

 


 トラウマを負った人は、一元的価値観を持つという性質を利用されて、親や上司の言うことは自分よりも正しい、としてハラスメントに遭いやすく職場や家庭でいいようにされてしまいがちです。

 

→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 

 

 

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これは私のものではない

 

 例えば、
ブログの記事を書こうとすると、
妙に頭が重く、もやがかかったようになります。

 

 「支配者」という概念から説明すれば、支配者の邪魔が入っているといえますし、

 

 「遺伝子」から説明すれば、何かマイナスに働く遺伝子が影響しているということになります。

 

 

 ためしに、いくつかの言葉を唱えてみます。

 

 すると、最初は、上手く反応しないのですが、
 しばらくすると、頭が重いのがなくなってくるのがわかります。

 

 皆さんも、上手くやる気が起きないことってないでしょうか?

 その時は、ご自分のせいではなく、外からの邪魔でそうなっていることが多いのです。

 ご自分を責めたり、やる気を高めるような努力をすると、余計にその罠にはまってしまうことになります。

 

 もしそうなったら、

「これは私のものではない」

 と何度か唱えます。

 

 すると、ササッと、重さが取れていきます。

 

 

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