反抗、というと文句を言ったり、暴言を吐いたりするようなことをイメージされるかもしれませんが、そのようなことではありません。
適切な反抗とは
・これまでの養育環境から受けた影響を相対化(自他の区別をつける)すること
であり、
さらに細かく言えば、
1.ダブルバインド(支配)に気づくこと
2.トラウマを解消すること
3.一元的な価値観の世界から、多元的な価値観の世界に移ること
(私は私、あなたはあなた)
です。
ダブルバインド(支配)とは、まさに正論(常識)をもとに相手を支配することです。
→「モラハラへの対策、治療のために知っておきたい6つのこと」
ご自身が罪悪感や自信の無さ、惨めさや苦しさを感じていたら、ダブルバインドやトラウマの影響が考えられます。
例えば、「自分が悪い」「自分はダメな人間だ」という根拠はどこから来るのでしょうか?
結局、ゴールポストを自在に動かす人(親、上司など)がいて、シュートが外させられて、「ダメな人間」という烙印を押されているだけなのです。
ダブルバインド(支配)とは、簡単に言えばゴールポストを勝手に動かされてしまって罪や罰を作らされてしまう行為を言います。
トラウマは、ダブルバインドから抜けられなくしている過去に追った傷、スティグマ(烙印)です。
→「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服」
ダブルバインド(支配)の理屈を聞いても、
「そうはいいますけど、私は“現実に”ダメな人間です。なぜかというとこんなことがあった、あんなことがあった・・・」
と当事者は思ってしまっています。
「こんなこと」「あんなこと」がまさにトラウマです。
普通であれば、記憶とともに流れていくものですが、それが流れず頭に残ってしまっていて「お前はダメな人間だ!」とささやき続けているのです。
さらに、一元的な価値観から多元的な価値観へ、というのはもうすこし簡単に言えば、「私は私」と思えることです。反抗期とはまさにこれを達成するためにあります。
例えば、仕事にしても人生にしても、正しい方法や価値観(反抗期の前は親の価値観)が一つだけあって、自分はそれが身についていない、知らない、と思ってしまうのが、一元的な価値観です。
一方、仕事も人生も人ぞれぞれ、価値観も取り組み方も違う、違ってていい、と思えるのが多元的価値観の世界です。相手が総理大臣であれ、社長であれ、あなたはあなた、私は私、と思えることです。
支配やトラウマを負っていると、一元的な価値観に染まってしまってそこから抜けられなくなってしまいます。
社会に出ても、支配的な人が寄ってきて「私はあなた以上のものを知っている」と誘惑してきます。
でも、世界は多元的だと知ると、見え方がガラッと変わります。
親も親で、あれはあれでいい、でも私は私、と思えるようになります。動じなくなるし、罪や罰もなくなります。
“適切な反抗”とは、本来生きる世界への入り口となります。
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