うつ病概念が混乱してしまった原因

 

このような混乱は何からきているかといえば、一つにはアメリカの精神医学会の診断マニュアル(DSMと呼ばれます)が1980年代に日本に入ってきたことや、また、精神病理学が衰退し、病気のメカニズムや生育歴などの背景ではなく、表面的な症状だけで診断するようなことが広まってしまったことに起因します。

 

 

表面的な症状が「うつ」であれば、何でもかんでも「うつ病」と診断されるために、わけがわからなくなり、
「新型うつ」だとカテゴリを持ち出さないことには収まりがつかなくなってきているようなのです。

 

 

さらにもう一つには、近年、製薬会社が「うつ病は心の風邪」といってキャンペーンを張り、従来よりも副作用の少ないSSRIなどの抗うつ剤の使用を宣伝したことがあります。従来は、抗うつ剤も副作用が強く、慎重に投与していたものが、「風邪薬のように」気軽に処方されるようになったことが背景にあります。
薬を処方するためには根拠として診断名が必要になりますから「うつ病」ということが簡単につくようになりました。

 

 

こうして「うつ病は本来どのような病気か?」専門家でさえも訳が分からなくなってしまう状況になってしまったようなのです。

問題意識を持った医師などが、「本来のうつ病の概念に立ち返るように(「内因性のうつ」のみをうつ病とするように)」訴えています。
私たちもこうしたことをある程度知って自衛しておかなければ、自分や家族が「うつ状態」になったときに回復が遅くなってしまいかねません。

 

 

関連する記事はこちらです

→「うつ病の真実~原因、症状を正しく理解するための10のこと

→「うつ病を本当に克服にするために知っておくべき16のこと

 

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うつ病は「心の病気」、ではありません

私たちが、風邪をひいたとき、とても気がめいります。
やる気は下がり、思考を要する事柄について家族から話しかけられると、「あとにしてくれる?」と言いたくなります。

 

風邪は身体の病気ですが、明らかに気分や意識にも影響が出ています。
これと同様にうつ病も、脳の失調などが原因とされますが、身体が鉛のように重くなり、死にたい気持ちになるなど、経験しないとわからないほどに本当につらい状態になります。

 

 

 

ここで立ち止まって考えると「何か変だな?」と思うことがあります。

なぜ、風邪もうつ病も同様に気分に影響が出るのにもかかわらず、うつ病については「心の病」とされているんだろうか? ということです。

うつ病は、食欲や運動機能など身体にも影響が出ます。
うつ病になると、布団が体に張り付いたように動けなくなります。

下手にカウンセリングを受けるよりは、生活習慣の改善、散歩や運動などのエクササイズをしたほうがすっきりすることも多いです。
事実、うつ病の回復期では散歩などは必須ともいえます。
それなら、「うつ病も身体の病気」でよいのではないでしょうか?

 

 

もともと、古代ギリシャでヒポクラテスが体液の乱れで陰気な気質になることをメランコリと言っていた症状が
今でいう「うつ病」のことではないかと言われています。これもすなわち心の病気ということではありません。
実際に、個人の意識が強調されるようになる近代になるまでは「うつ病」という概念は長く姿を消します。
実は、うつ病をはじめとする心の病、とされているものの多く(ほとんど?)は身体の病であるといえるのです。

この点については、例えば、山下格「精神医学ハンドブック(第7版)」においても、「気分障害や統合失調でも、このような意味で高血圧などと同じ「普通のからだの病気」である。」「あくまで「普通のからだの病気」であることを、医療・福祉関係者はもちろん、患者本人および家族も明記することが望まれる」としています。

 

 

私たちは、なにかと「心の病」とする考え方に慣れ、それが好きなようです。

 

 

「でも、心の病でも、身体の病でもどちらでもいいんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
それが、どちらでもよくないのです。なぜなら、解決に向けての取り組みが全く異なってきます。
例えば、うつ病については「身体の病」としたほうが、実際にその病にかかる患者やご家族にとっても、どれほど気が楽でしょうか?精神科に行く際の引け目や抵抗感を考えれば、「身体の病」とされることの気楽さはお分かりではないかと思います。
「身体の病で、症状だから仕方がない」と思えますし、薬を飲むことにも、休養することに抵抗もありません。

さらに、内因の病ですから、その方の責任でもありません。ただ、生活習慣病という側面がありますから、生き方は変えないといけなくなります。
生活習慣を変えることについても、「心の病」とされればアイデンティティにもかかわりなかなか受け入れがたいですが、身体の病であれば、その理屈は納得ができます。

逆に、「心の病」とされることでどれほど患者が自分を責め、それが果てに自殺につながっているでしょうか?
うつ病に限らず、他の心の悩みでも「心の問題」ではないということは当てはまります。そうとらえると、実はもっと早く、もっと楽になれるように思えます。悩みはその方の責任では全くありません。

 

 

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ホンモノのうつ病とは何か?その原因とメカニズム

 

ホンモノのうつ病とは何か?わかりやすくまとめてみると、

まずうつ病とは、多くの人にとって意外かもしれませんが、ストレスが原因で生じる病気ではありません。

 本来うつ病は、「内因性の病」されます。内因性とは、「遺伝的体質的素因」のことです。つまり、その方の体質によるものです。体質によるものですから、うつ病は、明らかな原因がないもの(了解不能)です。

もし、ストレスといった事が原因で気分が落ち込んでいる、といたように原因が明らか(了解可能)であれば、それは本来のうつ病ではありません。単なる「うつ状態(抑うつ)」です。昔でいえばノイローゼです。
テレビなどの電化製品に例えてみてもわかりやすいです。

長年使用していて、ある日テレビが突然故障してつかなくなる。これが「本来のうつ病」です。
一方、操作の仕方が悪かったり、モノがぶつかって壊れたらそれは「抑うつ」であって、「うつ病」ではありません。
「うつ病」とは時間とともに脳がくたびれて(理由なく)勝手に壊れるものなのです。

 

 

原因がはっきりしている場合は、うつ病ではない他の不調とみる必要があります。どうしてこの区別が必要かといえば、それぞれに対処法が全く異なるからです。
対処法が異なるというのは、「本来のうつ病」ではなければ、例えばうつ病のお薬を出しても上手く功を奏さないということです。

 

ストレスが原因で鬱になったのでしたら、それは「うつ病」ではないですし、基本的にはお薬で解決するものではありません。ストレスを解消する必要があります。

 

もう少しメカニズムから説明すると、
本来のうつ病は、脳内伝達物質の乱れなどが原因とされます。年を取るにつれて、脳内伝達物質がうまくリサイクルされずに足りなくなってしまうのです。※諸説あります。本来のうつ病には、脳内伝達物質に働きかける抗うつ剤がよく効きます。
しかし、ストレスに反応した抑うつや、トラウマが原因といった抑うつは、そもそも脳内伝達物質などが原因ではありませんから、いくらお薬を飲んでもよくなりません。メカニズムを考えれば当然の結果です。

 

 

野村教授も述べているように医師でもこの違いをはっきりさせないままただお薬を出すだけ、といったことも多いようです。(医師でもそうなのですから、カウンセラーはさらに怪しいかもしれません)
うつ病の簡単な入門書やリーフレットを見ても、こうしたことはほとんど説明してくれておらず、誤解を促す原因の一つとなっているようです。

 

 

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ニセモノのうつ病、ホンモノのうつ病

トラウマを負った方に多い症状に「うつ状態」があります。比較的若いにもかかわらずうつに陥り、何度も再発することがあります。

 

よく聞いてみると、職場のストレスが原因で、病院にもかかっていて、うつ病と診断されているといったことをおっしゃられます。
そうしたクライアントさんを見ていて違和感を感じるのは、「あれ?うつ病って、そういう病気なんだっけ?」ということです。
なぜなら、うつ病とは、ストレスが原因でなるものでもなければ、若い人がなるものでもないからです。

そもそもは中年以降に脳がくたびれて“原因なく”陥る病気です。
比較的若年で、何度も再発して、ストレスが原因で、といったことであれば、それはうつ病ではない、と考えるのが普通なのです。
しかし、いろいろと調べてみると、どうも医師や専門家の間でも混乱があるようで、
日本うつ病学会理事長だった、野村総一郎教授も
「皮肉なことにうつ病への関心の高まりと比例して、それが大衆化し、それに応じて誤解も広がり、その弊害も大きくなっているように思える」
「うつ病を研究している専門家の間ですら、うつ病概念への安直な理解、もっとはっきり言えば誤解が蔓延しつつある」
と著書の中で述べています。

 

うつ病は、精神疾患のレギュラー選手と言っても良いくらいポピュラーでありながら、簡単な入門書を一冊読んだくらいでは実像がつかめないくらい、とっつきにくい(理解しにくい)ものになってしまっています。

 

 

そのため、いつのまにか、ホンモノのうつ病と、間違って診断されるニセモノのうつ病とが混在して広まっているようなのです。

 

 

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